2018.10.05
請川 俊之(Star FACTORY)
  • Spot
  • 天王寺・新世界・住吉

profile

2014年、株式会社Star FACTORY入社。フリーペーパーの編集、取材、 執筆をはじめ、企業ホームページのWEB原稿や広報誌の制作など、 幅広いジャンルの制作に携わる。現在は某グルメサイトの撮影を行うなど、 撮影もこなすカメライターとしても活動中。得意分野はエンタメと紀行文。 西成生まれ、西成育ち、一部伊丹成分が入ったほぼ生粋の大阪人だが、あまりそうは見られない。

林立する西成カラオケ居酒屋

歌声響く夜の商店街を練り歩き!
数え切れないほどあるカラオケ居酒屋に入ってみました♪

新世界「ジャンジャン横丁」から道路を挟んで向かい側にあるのが「動物園前一番街商店街」。
かつては労働者に支えられ多くの店が賑わっていましたが、現在ではシャッターが閉まったままの店も多く見られます。
しかし近年、この商店街に再び営業している店が増え始めました。
その店とは、中国人を始めアジア系の方々が経営する「カラオケ居酒屋」。
夜になって商店街を歩くと、いたる所から歌声が漏れ聞こえてきます。
一体どんなお店の方がいて、どんなお客さんが遊んでいるのか……。
興味津々な取材班3名が、実際に居酒屋に入ってみました!
気さくな女性店主と、楽しく会話しながら熱唱!
20時過ぎ。待ち合わせた取材班3名は、意気揚々と動物園前商店街のアーケードを潜りました。
営業を終えた大衆食堂のシャッターが続く中、少し進むと煌びやかに光る看板やネオンがチラホラと見え始めます。
それこそが、近年急増中のカラオケ居酒屋。
すぐどこかの店に入ろうとしますが、あまりに数が多く少し思案。
すると、呼び込みを盛んに行う店に行き着いたため、撮影を交渉。
店主と店内のみ撮影可能とのことだったので、早速店に入ってみました。
▲何はともあれ乾杯! 記念すべき1軒目なので、ボトルを注文しました! ボトルでなければ、ほとんどが1杯500円です。
店主のお名前はアキさん(源氏名)。出身は台湾だそうです。
店の名前の「美紀」とは異なりますが、オーナーが他にいるとのことでした。
名前の由来を聞いてみると、「もうすぐ秋だから」と答えたアキさん。
すでにコテコテの大阪色に染まった回答でした。

日本に来た理由を尋ねると、そこは「日本が好きだから」とのこと。
住みやすいし何でも手に入るところが気に入ったのだとか。
お世辞が入っているとしても嬉しいコメントです。
話が盛り上がってきたところで、せっかくなのでカラオケ(1曲100円)を注文してみました。
▲1曲目はサザンオールスターズの「SEA SIDE WOMAN BLUES」。少しマイナーな曲でしたが、アキさんはしっかりと合いの手を入れてくれました。
▲続いてはTHE BOOMの「島唄」。この曲は有名だからか、店の3人も反応がよく、取材班もノリノリになりました。
日本の曲をどうやって覚えたのか聞いてみると、お店で聞いているうちに自然と覚えたのだとか。
好きな曲を教えてもらおうとしましたが、それはすぐに出てこなかったようで「私、あなたが好き」と言われてしまいました。
……いやぁ、お上手です!

今日はお盆明けということもあり空いていましたが、いつもは若い方から年配の方まで、世代を問わず賑わっている様子。
実際、帰り際には外国人観光客が来店していました。

誰かと明るく話したい時には、うってつけのお店かもしれません。
初心者にオススメ! アットホームなカラオケ居酒屋
少し違った雰囲気の店にも入ってみたいということで、商店街の奥の奥に進んでたどり着いた「飛田本通南商店街」。
時刻は21時半を回っており人通りはまばらになっていましたが、点在するカラオケ居酒屋はどの店もそれなりに賑わっていました。
そんな中で再び呼び込みを受けた取材班。
店主ミカさん(源氏名)に話を聞いてみると、普段は呼び込みはしないそうなのですが、取材班3人が中を伺っていたため、声をかけたとのこと。
誰も入っていませんでしたが、どこか親しみのある雰囲気で取材もしやすそうだったため、中に入ることにしました。
▲粘り強く交渉しましたが、ミカさんの顔出しはNGだったため、突き出しを撮影。基本的に突き出しは手作りで、お客さんを見て合いそうなものをチョイスしているのだとか。このきんぴらはまさに家庭料理という優しい味わいで美味でした。
話を伺うと、ミカさんの出身は中国北東部の吉林省とのこと。
店を始めたのは3年半ほどのようですが、日本にはそれ以前からいたようで流暢な日本語を披露してくれました。
さらに深く質問をしていこうとしたところ、常連客というSさんが来店。
これはあまり踏み込んだ取材ができなくなるかもと思いましたが、Sさんも取材OKとのことでしたので、二人に一緒に話を聞くことにしました。
▲早速Sさんと仲良くなる取材班(左)。グイグイ近づき過ぎな気もしますが、広い心で受け入れてくれたSさんに感謝です。
Sさんは2018年7月に吹田から西成に引っ越してきたばかりとのことで、住むからには楽しみたいということでカラオケ居酒屋に通い始めたのだとか。
「最初はどの店も入り辛かったのですが、1件くらいは入っておかないと西成区民は名乗れないと思って勇気を出して入りました。決め手は入っているお客さんが温和そうな人が多かったからです。ここは本当に良心的な店で、料金面で不満に思ったことはありません。店によってはドリンクは1杯500円でも、ガールズバー的なノリでどんどん女の子が注文していって高額になってしまうこともあるので、そういう店には注意した方がいいと思います。この店はコンプライアンスもしっかりしていて、カラオケは23時までを厳守。それ以上は歌わせてくれませんので、そういう点も安心ですね」と、かなり踏み込んだ意見を聞かせてくれました。
その話に対してミカさんは「こういう店をやっていると、客層は本当に大事です。店に問題があるなら改善すれば済む話ですが、お客さん同士で揉めるようなことがあれば、対処もしづらいですし、何より他のお客さんにも嫌がられます。だからうちはほとんど呼び込みもしませんし、若い女の子も1人で十分と思っています。幸いうちを選んでいただいているお客さんは、皆さんが良い方で、本当にありがたいと思っています」とのこと。
お二人とも本音で語っていただいて感謝です。

さて、真面目な話ばかりもどうかと思うので、Sさんにも1曲歌ってもらいたいと思い、取材班からリクエスト。
すると……。
写真のテレビ画面にご注目ください。
なんと中国語です。
Sさんは大学生の時に語学研修で中国に行ったことがあったそうで、以来中国語の勉強を兼ねて時々歌うのだとか。
ミカさんも、アルバイトの子も中国人なので、発音や意味を教えてくれるとのこと。
カラオケ居酒屋でも語学の勉強ができるという面白い発見でした。

やがて時刻は23時。
近所迷惑にならないよう、「多恵」ではカラオケの電源はOFFとなります。
二人に感謝を告げ、取材はここで終わることとなりました。


100件を優に超えると思われる西成のカラオケ居酒屋。
その性質は本当に多種多様で、中には自分とピッタリ合う店もきっとあるはず。
一人が寂しくなった時。とにかく歌いたくなった時。
この場所を訪れてみてください。
自分の居場所が見つかるかもしれません。
ただし、過度に呼び込みを行う店や、ぼったくりを行うお店も中にはあるようなので、くれぐれもご注意を!